偶然の出会いと言えば神保町のエルディンガービールでしょ 

放心亭

神田神保町で三省堂書店本店といえば、大きな本屋さんなのでランドマークになると思うけど、そこの地下1階で営業している「BEER膳 放心亭」さんはドイツ料理の老舗。旧店名はローターオクセンで、三省堂地下にあるだけに、文豪に親しまれた有名店。
 ずいぶん前の話だけど、そこのO店長はとってもビールに熱心で、行けばビール談義に花が咲くって感じ。今は出世して、ここだけじゃなくていくつもの店舗を指導をしているって聞いたから、あまり客席ホールでお見かけできないかもしれないのが残念。
 最初の出会いが感動的だった。ひとつひとつテーブルをまわってきて挨拶される店長だったのだけど、確かエルディンガー社のデュンケルビアがキャンペーン中って薦められたので、「エルディンガーはヴァイスビアが有名ですよね」って言うと、ちょっと思案顔。
 何だろって思ったら「冷やしていませんがエルディンガーのヴァイツェンありますよ。もしよろしければ5分間だけお待ちいただけますでしょうか、氷を巻いて冷やしてきますから」
 飲食店には感動の仕掛けがいっぱいだけど、これが最高にうれしかった。店長にとっては当たり前かもしれないけど、さりげなくスゴイことやってくれたと思います。
 それがきっかけですね。神保町に行けば、レトロで落ち着いた店の中で、約300年の歴史を持つハイデルベルグの学生酒場“ツム・ローテン・オクセン”のドイツ料理と、店の選んだドイツビールを味わいたくて遊びに行かせていただいていま〜す。
偶然の出会いがテーマ!お香のことならDaikoSHOP

【ドイツ雑貨プレゼント】教えたくなるほど良いお店エピソード大募集!

目白の丸長で裏メニューを考える 

丸長1
 きょうは目白の丸長で小鉢を食べながら、裏メニューについて考えてしまいました。
この店は行列のできるつけ麺屋さんで、お昼の時間帯しか営業していません。かつて、おばあちゃんが無くなる前は、おばあちゃんがラーメンやチャーハンをつくっていましたが、しばらくはつけ麺専門店でした(最近、ラーメン類が復活したようですw)
 最初はつけそば、野菜つけ、玉子つけ、メンマつけ、チャーシューつけ、チャーシュー野菜つけの6品のみで勝負していたはずですが、何年かぶりに入ってみるとメニューが分からなくなっていた。いきなり中だとか、特だとか、小鉢だとかの符丁が、店内に飛び交っており萎縮してしまったものです。
 どうやら中とか特というのは麺のポーションということが分かってきました。分からないのは小鉢、だから今日のランチは正体不明の小鉢を確かめるために丸長にしたのです。
 なるほど、小鉢とはチャーシュー野菜の小型版でした。ここのチャーシュー野菜は麺とは別に、ラーメンどんぶりに入ったつけ汁が出てきます。たぶん、これではボリュームが多すぎるので、もう少し減らして欲しいという人がいたのでしょう。だから、メニューボードに出さない裏メニューになったのだと思います。
 そういえば仕事仲間の大久保一彦さんが、著書「行列ができる店はどこが違うのか」の中で、インアンドアウトバーガーでのエピソードを紹介していました。ここのメニューボードにはハンバーガー、チーズバーガー、ダブルバーガーしかないけど、裏メニューとしてパンのないレタス包みの「プロテイン」や肉4枚にチーズ4枚の「フォーバイフォー」、バターで焦がしたオニオンスライスの乗った「アニマル」などがあったというのです。ハンバーガーの例では、あのマックでさえもダブルチーズバーガーのチーズ抜きや、かわいいところではレタス抜き、ピクルス抜きをやっていますね。パン抜きや肉抜きも実際あるそうで、雑誌で「お客様にも宗教上の理由などがありますから」という店長の談話とともに、ハンバーグ抜きでハンバーガーと言えるのでしょうかという揶揄が紹介されていたので印象に残っています。
 飲食店はお客様ニーズに応えて、ついついメニューを広げがちですが、店舗で見せるメニューは極端に減らして生産性を高め、バリエーションによる裏メニューの仕掛けで個別対応をしていくというのも顧客感動を生み出すのに有効な方法です。
 丸長の小鉢のように、正体不明のオーダーを耳にはさんで、何だろうと気になって再来店してしまうわたしみたいな人間も多いと思いますよ。
丸長2

蕎麦にモダンジャズ 

 なにげなく入ったそじ坊でBGMにモダンジャズを使っていました。アレッと思ったのだけれども、連れは「言われなければ気がつかなかった」と言っていたので、すんなり雰囲気に溶け込んでいたのでしょうね。蕎麦にジャズはあわないと思うのだけれど、アコースティックな音色が薄暗い照明の民芸調スペースにピッタリだったのかしら。
 飲食店でBGMに無頓着な店ってけっこうあります。国道沿いのドライブイン食堂ならまだしも、ちょっとおしゃれなイタリアンで有線の歌謡曲を流していたりする。若いオーナーが大好きなヒップポップをかけることでアッパークラスの食事を台無しにしてしまった例もあります。
 おいしそうな音というか、料理を引き立たせる音や音楽というのはあると思います。そじ坊のモダンジャズは蕎麦をおいしくするとは思えなかったけれども、楽しく談笑するにはピッタリでした。
 BGMを聞くために飲食店に入ることはないけれど、いい雰囲気で食事をさせてくれるということであればBGMも内装のひとつとして大切な小道具だと思います。
 聞いた話ですが、梅田のロイスカフェシノアはファッションブランド(ロイス・クレヨン)のイメージキャラクターがプロデュースした店という設定だそうです。BGMに架空の女性音楽家ロイス・クレヨンが作曲した曲を使い、店頭では7種のCDすら販売している。ここまでBGM戦略で物語りマーケティングを徹底できれば最高ですが、顧客感動を志向する飲食店であれば、少なくとも戦略的な意図を持ってBGMを選定し、来店客を楽しませていただきたいと思います。

 

行者にんにくありますか 

 昨晩は品川で、北海道がテーマのオオバコ居酒屋に。お通しがアイガモかチカの南蛮づけとのことだから「チカってどんな魚?」と聞いたが、「シシャモみたいなもんです」と素っ気なかった。おいおい、道産の食材が売りなんだから、もう少し言いようがあるだろっと思いながら、メニューブックを開くと、まず目に入ったのが行者にんにく。
 行者にんにくのおひたしに行者にんにくのたまごとじ、それから行者にんにくの・・・オンパレードです。そっかぁ、行者にんにくが旬だったな、そういえば秋田の地ビールレストランのヒットメニューが北海道産行者にんにくを練りこんだソーセージだったと懐かしくなりオーダー。 「あいにく、行者にんにくが品切れなんです」、ガーン「行者にんにくって(旬が)いつだったっけ?」「ええ、今頃なんですが、今年はこういう店(居酒屋)で多く出回ったのでお店に入りづらくなっていまして。あい、すみません。」
 ふ〜ん、そういえば先ごろ家の近くのスーパーでさえ青果コーナーで見かけたなと思いつつ、チカでの失点は完全にカバー(笑)。店の人からのこういう情報提供って、なにげに嬉しいんですよね。一気に好感度アップで楽しくなってきた。
 「そっか〜食べたかったな、ん、このページにある行者にんにく餃子だったら(既製品だからw)あるんじゃないの?」「あっ、ちょっと待ってくださいね。今確認してみます」さっそくその場でキッチンにレシーバー確認できるというのがいいですね。「あっ、ありました。よかったです。」とっても嬉しそうに言うから引き込まれてオーダーです。ここの表情に接客者の人格が出ます。たぶんCS(顧客満足)で言うMOT(真実の瞬間)というのはこういうシーンを指すのでしょうね。
 もっとも、コンサルとしては客サイドから指摘するのではなく、お店の方から行者にんにくの代替案として提案して欲しいところではありましたが(^^;

一見さんを見分ける方法 

 入ってきたお客様が一見さんなのかお馴染みさんなのかの見極めは飲食店の課題ですよね。初めてで不安がいっぱいの一見さんであれば、店のシステムを説明してあげることが親切でしょうが、もし毎日のように来ているお馴染みさんであれば説明が邪魔なだけ。それどころかいいかげん顔を覚えろって怒り出しかねない(笑
 先日、外国人に乞われて両国のちゃんこ屋さんでランチしたのですが、塩ちゃんこにセットされた胡麻すりの意味が分からず、すり鉢に手をかけないでいたら、担当外の仲居さんが気にかけて「食べ方分かりますか?」と声をかけてきた。最初に食べ方の説明はあったはずなのだけど、ちゃんこは初めてで頭の中にイメージがないから“待っている間に胡麻をすりすりしながら鍋の煮えるのを待つ”ってことを聞きもらしちゃったorz
 このときピンときた。一見さんかお馴染みさんかの判断がびみょ〜なときには、何気ない小道具を用意すればいいんですよ。常連の人には当たり前でも、初めての人には「これなに?」って思わせるもので、店の負担になりにくいサプライズ・アイテムを用意する。
 ずいぶん前ですが秋田県で観光立地のビアレストランの立ち上げに参加したとき、オープン前に社長が稲庭うどんの切り落としを見つけてきた。“切り落とし”とは、うどんを3尺8寸にのばして乾燥させるときにできる折り返し部分というか端の部分。今でこそ商品として売られていますが、当時はまだ長さや太さが不ぞろいで売り物にならないとされていたものです。
 ほとんどただで手に入るから、これを素揚げして地ビールのアテに提供しようということになり、もちろん高級な稲庭うどんを使ったサービスは地元ならではのとびきりメニューとして大評判になりました。
 でも今考えてみれば少々もったいなかったな。一見さんは最初に出てくる「うどん揚げ」を見て「これは頼んでいません」と声をかける人が多かったし、お馴染みさんはしたり顔でニヤニヤしながらボリボリやっていたものです。ただ次のアクションを組み立てていなかったから「いえ、これは当店のサービスです」と説明させるのが精一杯だった。
 ここから初めての人には初めての人用にお得なティスティングセットを、常連さんには今日の蔵出しは・・・なんておすすめサービスが実行できるとよかったのですが。
 もちろん、一度会ったら絶対に顔を忘れないという接客術のプロはいると思います。しかし、みんながみんな記憶力が良いわけではないし、グレーゾーンのお客様っていると思うのです。判断がつかないときに何気なく確認する小道具が欲しい。
 あからさまではなく自然に「いらっしゃいませ、いつもご来店ありがとうございます」「えっ、どうして知ってるの?」こんなスタートがきれたら、ぐっ親近感がわくだろうしお客様には楽しくお食事いただけると思うのです。